自分の漫画自分で解説! 第三弾です。
前回は6P~13Pまで解説しました。今回は14P~21Pまで解説します。
さっそく行きます!!
Contents
14P:テクノに見つかる

場面
アンのすさまじい一撃によって沈黙するロボット。
そのロボットのカメラアイの向こうでは、テクノがアンとギュノスを見ていた。
テクノは一年前殺したはずの二人が生きていることを知り驚愕する。
演出
一コマ目のロボットは、前のページの最終コマのロボットをコピペして描きなおしたものです。
コピペは、連続した場面を描く上でかなり重要なスキルだと思います。
「同じもの」を描くのですから、そっくりに描くよりコピペした方が出来栄えもいいし、まあ何より早い!笑
そして、ちゃんと書き換えてやれば見栄えする絵にもなります。
もちろん、無計画に多用するもんじゃないと思いますが……。
手抜きになってしまうのは良くないですからね。
テクノは小さなくらい部屋のようなところで、アンとギュノスをモニター越しに見ているようなイメージで描いています。
最終コマのアンとギュノスの周りに「四角いワク」のような形を描くことで、モニターで見ていることを表現してみました。
15P:暗闇にうごめく影

場面
テクノのモノローグが続く。
暗闇の奥から、さらに多くのロボットが起動音を立てながら接近してくる。
アンとギュノスは警戒の色を濃くした。
演出
明るいページが続いていたので、ここは思い切り暗くしました。
暗い中に何体もの奇妙な形をしたロボットが見え、読者の関心を誘うようになっています。
①二人が警戒している
②ロボットたちが前から近づいてくる
という二つのことを説明するため、最終コマではアンとギュノスの表情を「インサート」的な別コマで映しています。
「機動戦士ガンダム」の富野監督がよく使う手法のマネです!!(富野監督大好き)
16P・17P:ロボットの群れ

場面
“ここでは私が上だ!”
テクノの叫びと共に洞窟に閃光が走り、ロボットの群れがはっきりと映し出される。
臨戦態勢に入る二人。
演出
二回目の見開き。
ネーム段階ではロボットのデザインは全部同じだったんですが、「全部テクノの手作り」という設定があるため別々にしました。
しかし例のごとくデザイン画を描いておらず、デザインいまいちです。
中には気に入ってるのもありますが……
画面がバシャっと光るのはカメラのフラッシュをイメージしました。
なんで光るのかと言うと……多分、ロボットの動力にしている水晶と洞窟の水晶が共鳴したんでしょうね笑
これは演出都合です。まあノリで描きました笑
18P:アンの洞察

場面
物言わぬロボットたちがアンとギュノスを睥睨(へいげい)する。
状況を窺うギュノスと、まっすぐにロボットの方をみるアン。
アンはテクノの存在を洞察する。
演出
「緊張感」のある画面を目指しました。
「ウィンウィン」など機械の動く音がするのは、「機械の音が聞こえるほど静か」だという意味です。
また単調にならないように、グレーの濃さを全コマで変えています。
ロボットのデザインが一体一体違うので、同じ色にしては変だと思ったからです。
アンの口元のアップがありますが、これも上のアンをコピペして書き足したものです。
上のコマとほぼ同ポジなので、口元しか描いていないのですがアンが上のコマと同じようにまっすぐ前を見据えていることが分かると思います。
コピペとはいえ、影の塗り方と濃さを変えたのであまり同じ絵には見えなくなっていると思います。
最後のコマ。
この角度から描いたら本来は奥のロボットはもっと小さくなるし、アンとロボットの間にギュノスや他のロボットが見切れるはずですが、あえて無視しています。背景も描いていません。
ここはちょっと感覚的な表現というか、アンは間違いなく奥の一体しか見ていない、という感じでしょうか。
「アンがテクノの存在を見抜いた」という意味があります。
19P:テクノとギュノスの会話

場面
緊張して、一呼吸置くテクノ。
ロボットが機械音声で返答し、テクノと二人の会話が始まる。
演出
物語の核心となるシーンです。
主人公二人と敵役のテクノが会話を始める重要な場面。
まずギュノスから話し始めます。
ギュノスは理屈屋で、テクノに二人の意見をはっきりと伝えます。
男性は理屈が好きなので、この内容の話ならギュノスにさせるべきだと判断しました。
最初にテクノが「スウ」と息をするのは、アンに図星を指されて動揺しているからです。
「私はここにはいない」と言っているのですが、テクノはアンが言った通り、そのロボットに乗っているのです。
20P:アンの問いかけ

場面
ギュノスの要求を退け、自分を放っておけと主張するテクノ。
アンは問う。
なぜ一年前村を焼いたのか?
そしてなぜ、過去のすべてを消してわざわざこんな所にいるのか?
アンは言いながら涙ぐむ。
演出
テクノは「敵」なので、多少悪っぽく描く必要があると感じました。
なのでちょっとトゲのある言い回しをさせています。
ギュノスが「理屈」で攻めたので、今度はアンが「感情」で訴えます。
女性は感情が得意なので笑
テクノは干渉を望まないようですが、二人からすればテクノは「村を焼いた」ことによって二人との間に強い「縁」を結んでしまったことになります。
アンとギュノスにしてみれば住んでいた家や近しい人々を友人が突然壊滅させたわけで、そうであればテクノを問い詰めるのは当たり前のことです。
3Pめでアンが複雑な表情を浮かべていたのは、この辺の理由です。
21P:テクノがキレる

場面
テクノはアンの追及に対しての返答を拒否する。
もう戻れない状況になってしまったと悟り、アンは静かに泣く。
演出
テクノの怒りをどう描こうか色々考えてこうなりました。
言葉で表すのは難しいのですが、絵ではこういった点に気を付けて描き、「怒り」という言葉にならない部分を表現しました。
・太い線でガッと描く!
・顔に濃い影を落とす
・憎しみの表情や怒りの表情などを描く
さらに、テクノの怒りを表現するために3コマたっぷり使いました。怒りがふつふつ湧き上がってくる感じにしたかったので。
対照的に、最後のコマではアンがしみじみと泣いています。ギュノスはそんなアンの涙をじっと見つめています。
ギュノスもアンと同様の気持ちになっているので、ただじっと見ているだけしかできない……といった状態ですね。
おわりに
いかがだったでしょうか。
今回のページでは、アン、ギュノス、テクノの三人の関係性を描きました。
それによってこの物語の中の緊張感が高まり、「一体どうなるんだ!?」という期待感をあおろうとしています。
次回はいよいよ戦いの火ぶたが切って落とされます。