その1の続きです!
その1では1〜5Pを解説しました。今回は6〜10Pまでを解説したいと思います。
Contents
6P:洞窟にたどり着いた二人

場面
疲れ果てたギュノスが、道程を思い出しながら虫の息になっている。
一方、ケロッとした表情でギュノスを急かすアン。
「お前、思いやりのない女だな」……ギュノスの悪態が聞こえているのかいないのか、アンが後ろを向く。
演出
二人の掛け合いです。アンがかわいいですね。いや、そうでもないか?笑
ギュノスはあの100m以上もありそうな大ロッククライミングをやったあと、上りより疲れる下りのロッククライミングをやったのでヘトヘトになっています。
しかも構造上、上りより下の方が長いし暗いという……笑
ギュノスくんがあの高さのクライミングを二回もやっているのに、アンは飛べるので疲れていない。飛ぶのは飛ぶので疲れるはずですが、アンは元気です。
なんで塔の下が洞窟になっているのか、ですが、これには深い意味“しか”ありません。
タイトルにもなっている「アンドロギュノス」は、ギリシャのプラトンと言う哲学者が考えた「太古の人類」が元ネタです。
「アンドロギュノス」は男と女がつながっている姿で描かれており、「完全性」を表しています。これを『両性具有』といいます。
作品タイトルでもある「アンドロギュノス」
『両性具有』であり、男女の体が一つになっている。
で、「塔」は「男性」を表すモチーフとしてよく使われます。
そして「洞窟」は「女性」を表します。
なんで塔と洞窟が男性と女性を表すかというと、それぞれの性器に形が似ているからです。
以上のことから、入り口が塔で下が洞窟なのは「アンドロギュノス的な地形だから」です。……すみません、言ってる意味分かりますか……?笑
分かんないですよね。
……まあ、一応そんな理由でした笑
7P:洞窟の奥へ……

場面
振り向いたアンは、巨大な石英の生い茂る洞窟を見て興奮する。
ギュノスは手元に落ちていた水晶のひとつを拾い上げ、「天然のものではない」と憎々し気に握りつぶす。
そして、洞窟の奥を目指して歩き出した。
演出
場面説明のためのロングショットから始めて、二人が奥へ奥へと進んでいく様子を描きました。
映像作品、漫画、舞台、なんでもそうですが画面左側⇦が未来の方向です。なので、画面左に向かって進行させています。
上手(かみて)下手(しもて)と言ったりしますよね。上手が画面右⇨、下手が画面左⇦です。
物語は、上手から下手に向かって進行します。
演出の世界ではそう決まっています。まあ、単純に読み進むページの方向もあると思いますが……。
このあたりは演出の本とか読んだらもっと詳しく書いてあると思います。
これ以上のことは知らない笑 もっと勉強しなきゃいけませんね。
参考書籍は、「機動戦士ガンダム」のアニメ監督、富野由悠季の書籍
『映像の原則』です。演出の基本が解説されています。
「まるで石英の森!」とアンが言うコマは、多分この漫画で一番丁寧に時間をかけて描いたシーンだと思います。
全部これくらいのクオリティで仕上げてみたいなあ。
キャラの動きですが、楽しそうなアンとちょっと厳しい表情をするギュノスが対比的です。
二人の性格がなんとなく固まってきました。
同時にギュノスが「天然のものじゃない=人工物」を警戒している、ということも明らかになります。
これはのちの伏線ですね。
ちなみに、この洞窟はメキシコ・チワワ州の『ナイカ鉱山』がモチーフになっています。

「水晶が光る」という設定は、リアルに考えると洞窟ってのは暗すぎてライトなしじゃあなんっっにも見えないのでそれじゃあ困るからです笑
こういう演出都合の設定は本当は良くないのですが……笑
のちのち出てくる「科学兵器」のエネルギー源にもなっているという設定です。
8P:過去を思い出す

場面
焚火を焚いて疲れを癒し、過去を思い出すギュノス。
奥でアンが寝ている。
火を見たことを契機に、過去を思い出すギュノス。
アンとギュノスが住んでいた村は、同じ村に住んでいた少年『テクノ』によって滅ぼされていたのだった。
演出
ここは回想シーンです。アンとギュノスがこの洞窟に訪れた「動機」を説明するページになります。
「火」を見ることで過去の映像がフラッシュバックし、スムーズに「村が焼かれた」ことを説明しようと試みています。
また、下に行くにつれて画面を明るくすることでギュノスが段々自分の頭の中の映像を思い出しているような演出をしています。
そして、「テクノ」の初登場シーンですね。
テクノは一番デザインが難航したキャラで、正直まだ固まってません。
男の子描くのが苦手で……笑。
9P:さらに過去を思い出すギュノス

場面
どんどん過去を思い出すギュノス。テクノと過ごした日々を回想する。アン、ギュノス、テクノは仲の良い友人同士だった。
それゆえに、テクノのなそうとしていることを止めようと強く決意する。
いつの間にか眠っていたギュノスは、アンの言葉で目覚める。
演出
前ページに引き続いて回想シーンです。はっきりと、「テクノを倒す」というストーリー上の目的が提示されます。早めにこれを提示するのが重要らしいです。
ここで読者は初めて何が目的なのか、何を目指すストーリーなのかが分かります。
描いてる本人はもちろんそんなこと最初から分かってるので、そんな読者の気持ちが分からず、目的が曖昧なまま進めてしまうことになりがち!! 気をつけましょう。
演出ですが、この真ん中のコマは映画のフィルムをイメージしました。
昔は仲が良かったのに……、的な描写ですね。
雨みたいな縦の線を加えたのは、コマに繋がりを持たせたかったからと、回想だとはっきり分かるようにしたかったからです。
なかなかうまくいったと思います。
回想が終わり、いつの間にか眠っていたギュノスにアンが声をかけます。
この時、ギュノスの鼻のところで「パチン」と音がしているのですが、これは眠った時に出来た鼻ちょうちんが割れたからです笑 ちょっとしたボケですね。
最後に、次のページへの分かりやすい『ヒキ』を作っています。
ここまででかなり情報を詰め込んでますが、一通り舞台・人物・動機の説明が終わりました。
いわば起承転結で言うところの「起」の部分です。
実際、もう9ページなので四分の一は来たことになります。
話はここから一気に展開します。
10P:襲われる二人

場面
暗闇で何かが光ったかと思うと、閃光が二人を襲う。
攻撃を躱し、素早く剣を鞘から引き出すアン。
演出
ここからアクションシーンです。人生初の漫画の人生初のアクションシーンです!!笑
アンの方が状況にすぐ対応できています。実はギュノスよりアンの方が戦力的に強いのです。
それはやはり、アンに秘められた竜の力なのでしょうか……(決めてない)笑
私は男より女の方がこういう事態には強いんじゃないかと思っているので、女性であるアンの方がすぐに戦士の顔になっているのです。
対してギュノスはちょっとビビっていて、体勢を崩してなんとかビームを避けたため、初動が遅れています。
このページでも、ビームを撃ってきたのがなんなのかは分からないようになっています。
これも次ページのヒキになっています。
「放たれたビーム」という結果を先に提示して、発射した原因は隠しているわけですね。
11P:ロボット登場!

場面
ビームを発射したのは、禁忌の『化学兵器』ロボットだった。
「なんだあれは!?」叫ぶギュノスとすぐにそれに向かって突撃するアン。
両腕のビームを躱した後、ロボットの頭の主砲が発射される。
演出
ここから雪崩のようにアクションが続くので、ギュノスを『下手向き』で配置して一度上手から下手への流れを止めてみました。
暗闇から現れたロボットが、容赦なくビーム攻撃を仕掛けてきます。警告も何もありません。
アンが向かっていきますが、アンは上手、ロボットは下手にいます。
上手の方が強く、下手は弱いという関係性があるので、これは失敗だったかもしれません。上手下手の概念に関してはこの項の最後に説明します。
12P・13P:ロボットとの闘い

場面
ロボットのビーム掃射を大きくかわすアン。
同時に剣を構えなおし、そのままの動きでロボットに鋭い突きを繰り出す。
すさまじい勢いで突き出されたアンの剣がロボットの頸を貫く。
演出
初の見開き(2ページにまたがる演出)です。インパクトが欲しいと思ってこうしました。
動きの連続性を表現したいと思って、コマの枠線を控えめにしました。かつ、視線誘導もしなきゃいけないので本当に漫画って大変です。
アンの長い髪の毛と翼が、動きの軌跡を描くのにすごく便利でした。
同時に、描きにくい部分を隠すことも出来ます。
また難しいのが「オノマトペ(擬音)」です。
「ビュワ」とか「ゴギャ」とかいうやつですね。
これは絵というよりデザインで、形で音を表現しなきゃいけないので難しい笑 配置、字体、大きさのバランス。
そしてセリフや絵との兼ね合い。
本当に自然に画面に入れることが難しいです。
いかがでしたでしょうか? というか、よくここまで読みましたね!!
私の自己満足企画に付き合ってくれてありがとうございます。
まだ13Pなので、まだまだ続きます!
このような自己満ブログが人の役に立つとは思っていませんが、書きたくてしょうがないのでまだまだ書きます!
もし気が向いたら、次もよろしくお願いします。笑